【大学入試】総合型選抜・学校推薦型選抜における面接対策でのAI活用
- 自習ノート2
- 11月21日
- 読了時間: 7分
はじめに
高校3年生にとっては10月、11月といえば大学受験における総合型選抜と学校推薦型選抜の受験シーズン真っ只中です。
特に総合型選抜・学校推薦型選抜の試験内容に「面接」や「口頭試問」がかなりの割合で入ってきます。
ですから、このシーズンになると面接・口頭試問の対策や練習の相談に来る生徒が後を絶ちません。
そういった中で、面接・口頭試問対策で実際に取り組んでいる生成AI活用を紹介します。
目次
総合型選抜と学校推薦型選抜における面接試験の位置づけ
総合型選抜とは「学力試験だけでなく、学習意欲や適性、人物像などを書類・面接・小論文等で総合的に評価する選抜方式」、学校推薦型選抜とは「出身高校の校長推薦を必須とし、調査書や面接、小論文などを通じて受験生を多面的に評価する選抜方式」とされています。
何れの選抜方式にも「提出する書類・面接」という文言と「総合的に」「多面的に」といったフレーズが含まれています。大学側にとっての面接試験の目的は「大学が求める学生像(アドミッション・ポリシー)とのマッチング」を確認し、入学後にその分野で能動的に学び成長する資質があるかを多面的に評価することにあります。
ですから、面接は書類だけでは伝わらない受験生一人ひとりの「個性」や「人間性」を大学側が直接確認する場であり、受験生にとっては「自分がこの大学に最もふさわしい学生である」とアピールする最大の機会となります。
面接試験対策とその方法
大学入試において「面接」や「口頭試問」が課せられているのであれば、当然その対策が必要です。
しかし、一般選抜の過去問のように、実際に過去にどのような面接試験が行われたかを調べることは簡単ではありません。
過去の質問傾向をベネッセの「ハイスクールオンライン」の「受験レポート」から調べることも可能ですが、すべての大学・学部・学科のものが掲載されているわけではありません。
また、面接試験の質問内容も、提出された志望理由書や活動報告書の内容から問われる場合も少なくありません。
特に、今年初めて実施される入試方式に対しては、過去のデータがありませんから、募集要項や大学案内、オープンキャンパスなどの説明会で得た情報をもとに予測するしかありません。
さらにそれが複数人の生徒個々に対応するとなると、通常校務に加えて行うので、業務量としてはかなりのものになります。
やはり、効率よく進めるためにも、「AIツール」の活用が有効ではないかと考え、筆者も現在試行錯誤しながらも実践しています。次項で具体的な活用例を示します。
生成AIツールの活用例
筆者の勤務校ではMicrosoft 365 Educationの契約がありますので、Microsoft365 Copilotの使用が可能ですので、それを活用した例を紹介します。
志望理由書等のWordデータを受け取る
面接試験は上述したように志望理由書や活動報告書から掘り下げた質問が多いので、まず対象の生徒から志望理由書等のWord等のデータをもらうようにします。
最近では生徒自身、志望理由書の原案作りもWordやGoogle documentを利用するケースが多いです。(因みに、筆者は志望理由書添削も生成AIを使うケースがありますが、それはまた別の機会に。)
受け取った志望理由書をもとにAIに質問案を作ってもらう
受け取った志望理由書データから面接で想定される質問を考えてもらうために、以下のようなプロンプトを入力する。
Wordの場合はCopilotボタンの押すと画面右にサイドパネルが開きCopilotが起動しますので、そこから直接プロンプトを打ち込むことが可能です。
プロンプトを入力する際は、対象となる大学の選抜方針等を踏まえる必要がありますので、その内容を調べてもらった上で考えさせるとより精度が上がります。ChatGPTやGeminiを活用する場合はwebsearchを入れておいてプロンプトを入力するようになります。
「留学生入試」や「帰国生入試」、「スポーツ推薦」など募集対象がやや特殊な場合は、その生徒の特性(国籍、部活動・競技など)も付け加えて入力するようにしています。
今回の例の場合はCopilotから以下のような回答がなされました。



画像のように、対象となる大学の選抜要項を検索した上で、選抜方法とアドミッションポリシーを示し、読み込んだ志望理由書をもとにして想定される質問案が出力されます。志望理由書の内容を掘り下げた質問や、やや専門性を問う内容も含まれてきます。
画像の「⑤学力に関する試問(口頭試問)」については、別途さらに
のようなプロンプトを入力すれば、問題を作成してくれます。
この「質問例」と「志望理由書」を用いて面接練習をしていきますが、質問例をすべて使うわけではなく、面接時間や生徒の受け答えの内容から取捨選択することになります。ベネッセハイスクールオンラインの受験レポート等の過去の面接データがあるのであれば、それを併用すると効果的です。
因みに、ChatGPT-5、Claud4.5Sonnet、Gemini2.5Flash(いずれも無料の範囲で)も試してみましたが、ChatGPT-5は専門分野についての質問が多くあり、中には一般の高校生では答えるのに困難であろう質問も見受けられました。(プロンプトに「受験生は高校3年生です」と加えることでやや解消されましたが・・・。)
Claud長文の読み取りと日本語生成に強いためか、Copilotよりも丁寧な質問の印象でした。GeminiはCopilotに近い感じでした。尚、今回活用しているCopilotはChatGPT-4oをベースにしているようです。
注意点
筆者自身が面接練習の際に生徒たちに「想定外の質問は必ずある」ということを常に伝えています。
AIを活用していても然りで、AIが作ってくれた「予想質問」はあくまで予想であるので、100%信じないことです。
やはり、教員自身もその大学の内容をある程度理解した上で、AIが出した質問を取捨選択していくこと、また、それを参考にして更に深堀りした質問も「アドリブ」で出してあげることも大事だと考えます。
大学入試全般に言えることですが、入試に「絶対これが出る」はあり得ません。
そのことを生徒も教師も肝に銘じて対策することが大事です。
生成AIの活用全般で言えることですが、生成AIはあくまで我々教師の代わりをなすものではなく、教師の手助けとなるものであるとして捉えなければなりません。
面接練習においては、最後はやはり生徒と対面して、その生徒がどのような志を持って志願したのか、その大学でどのような夢を成し遂げたいのか、そして、生徒自身のこれまでの経験・学びを通して、いかに志望校に入学するの相応しいかをアピールするか、ということを教師が引き出して導いてあげるということが重要です。
まとめ
本記事では、総合型選抜・学校推薦型選抜の面接指導における生成AIの実践的な活用方法をご紹介しました。
生徒の志望理由書をAIに読み込ませて想定質問を作成することで、限られた時間の中でも一人ひとりに合わせた質を高めた指導が可能になります。
AI活用の最大のメリットは、指導準備の効率化と、生徒の自主練習を促せる点です。ただし、AIはあくまで補助ツールであり、教師による対面指導や観察は決して省略できません。
生成された質問をもとに、生徒が自分の言葉で語れているか、本質的な理解ができているかを見極めるのは、やはり教師の役割です。
面接指導は「模範解答」を教える場ではなく、生徒一人ひとりの個性や可能性を引き出す場です。AIを上手に活用して指導の幅を広げつつ、生徒が自信を持って自分らしさを表現できるようサポートしてください。
今回紹介した内容が、何かの参考になれば幸いです。
今回はこれで終わりです。次回もお楽しみに!
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それでは、また次回の記事でお会いしましょう!





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