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中学校「総合的な学習の時間」を変える—GPTs×PBLで実現する“自分ごと”の探究学習

はじめに


中学校の総合的な学習の時間(総学)は、知識の暗記では育ちにくい「問いを立て、調べ、考え、形にする力」を伸ばすための核となる学習領域です。とはいえ、実際に計画を立てようとすると、

  • テーマ設定が広すぎる

  • 時数や評価の設計が難しい

  • 現場の準備に時間がかかる

といった悩みがつきまといます。


そこで本記事では、PBL(課題解決型/プロジェクト型学習)を軸に、GPTs(教育用にカスタマイズしたAIアシスタント)を活用して、無理なく質の高い単元を設計・実践する方法を、中1・SDGs×全6時間のモデルとともに解説します。

「深い学び」を授業デザインで確実に仕込むための実践ガイドとしてご活用ください。


目次


総学が目指す学びの本質


1) 未知の課題に向き合う力

総学の中心は、正解が一つではない課題に挑む力を培うこと。問いの設定→情報収集→分析→試行→振り返りというサイクルを通じ、試行錯誤を前提にした問題解決力が育ちます。


2) 「学び方」を学ぶ場

単元をまたいで活きるのは知識そのものより、学び方・考え方の型です。情報の信頼性を見極め、根拠をもって主張し、振り返って改善する——この学習のメタスキルが将来の学びを支えます。


3) 主体的・対話的で深い学びへ

自分ごと化→協働→表現の設計が深い学びの鍵。


PBLが総学に最適な理由


PBLの要点

  • 課題が起点。必要な知識は解決プロセスの中で自発的に学ぶ

  • 成果物とプロセスの両方を重視

  • 他者・社会との接点をデザインし、意義と動機を高める


効果のマッピング:

ポイント「活動の楽しさ」だけに寄りすぎないこと。問いの質検証の設計が、学びの深さを左右します。


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GPTs活用で授業設計をブースト




GPTsとは?

OpenAIの目的特化型AIアシスタント。授業づくりに必要な単元設計・活動例・評価観点を、対話しながら共同編集する“同僚”のように使えます。


例:総学PBL設計Botができること

  • 学年・時数・テーマを入力 → PBL4段階に沿った全体設計を自動生成

  • 段階的ヒアリングで教師の意図を正確に反映

  • 各時の活動・準備物・留意点を提示(編集可能)

  • 評価観点振り返りの型(KPT など)を提案


実践モデル:中1・SDGs×全6時間


単元名:「身近な生活から考えるSDGs——わたしたちの小さな行動が未来を変える」対象:中学1年 時数:各1時間×6

1時:テーマ設定「SDGsって何?自分とどう関係ある?」

  • 導入:短い入門動画/身の回りの「もったいない」「気になる」を付箋に

  • 共有:「それSDGsのどの目標?」と対応付け

  • 出口チケット:明日までに家の中で1つ観察してくる

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2時:情報収集「今どこが問題?」

  • 校内観察・簡易インタビュー(給食・購買・教員など)

  • 行政・省庁サイトから一次情報に触れる

  • 家庭アンケートで生活実態も把握

  • まとめ:課題の現状図解(スライド/ポスター)

課題の場所 事実・データ 当事者 困っていること 根拠の出典


3–4時:解決策の検討と試行「どうすれば良くなる?」

  • アイデア出し(数・効果・実現性・コストで評価)

  • 小さな実験:ポスター掲示/リユースBOX/節電呼びかけ 等

  • 観察と記録ビフォー・アフターを写真やカウントで可視化


5時:発表準備「わたしたちのアクションを伝える」

  • 構成の型:①なぜその課題?②何を調べ何をした?③結果・気づき④次への提案

  • 発表形式:ポスター/スライド/短編動画/寸劇 など


6時:発表・共有・振り返り

  • KPT法で聴き手が具体的フィードバック

  • 単元の総括:SDGsは特別ではなく日常にあると再確認

  • 記録:クラスポートフォリオに成果物と学びを保存


実践例(食品ロス)

  • 給食の残食を1週間計測→掲示で見える化

  • 「おかわりコーナー/小盛りカード」導入を試行

  • 残食量が平均15%減(仮想データの例)

  • 次の提案:学年全体版の運用と保護者通信で広報


成功のための7ステップ設計

設計は「柔軟さ×見通し」の両立が命。以下の手順で“迷いを減らし、余白を残す設計に。

  1. 年間計画との整合:詰め込み期を避け探究の時数を先に確保

  2. 3視点で構想:生徒の関心/教師の願い/教材の特性

  3. 探究の見取り図:問い→活動→つまずき→支援のシナリオを描く

  4. 流れの妥当性チェック:無理のある活動順は入替・統合

  5. 指導案化:目標・評価観点・貫く問い・活動と支援を言語化

  6. 実施中の柔軟対応生徒の動きに合わせて問いや活動を再設計

  7. ふりかえりと改善:成果・課題を次年度計画へ反映(PDCA)

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教員の役割転換:教える人から伴走者へ

  • 問いの質を上げる声かけ:「なぜ?」「他の見方は?」「根拠はどこ?」

  • 協働を促す場づくり:役割の明確化/タイムボックス/ホワイトボードの使い分け

  • メタ認知の支援:毎時ミニふりかえりで学び方を可視化


地域・企業とつながる学び

実践体験型PBLは、学びに社会的な手触りを与えます。規模が小さくても効果は大きい。

  • 商店街×集客課題:ヒアリング→イベント案→SNS素材制作→提案会

  • フードバンク:フードドライブの設計・実施・分析

  • 医療機関×健康教育:AED・栄養教室・防災訓練と連動


成功のコツ

  • 連携先にも教育的価値(CSR/次世代育成)がある計画に

  • 学校窓口を一本化し、期日・期待成果・広報範囲を共有

  • 安全配慮・個人情報のルールを事前合意


評価設計:プロセスを可視化する


ここではルーブリック作成法にもとづいて、「何を見て評価するか」の観点を共有します。


観点とチェック項目:

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運用のポイント

  • 事前に共有:観点・到達イメージを最初の時に生徒へ

  • 形成的評価:毎時のKPT出口チケットで小刻みに見取る

  • ポートフォリオ:資料・メモ・写真・ふりかえりを時系列で保存

  • 次へ活かす:評価記録は進路面談・次年度計画に接続


まとめと次のアクション


要点の再掲

  1. 総学は未知の課題に挑む力学び方を育てる場

  2. PBLは「自分ごと×協働×表現」で深い学びを実装する最適解

  3. GPTsを使えば、設計の初速が上がり準備の負担を削減できる

  4. 設計は7ステップで「見通し×柔軟さ」を両立

  5. 評価はプロセス重視。観点を事前共有し、形成的に見取る


まずやってみる3ステップ

  • 小さく始める:4~6時間の教室内完結PBLから

  • Botと設計:学年・時数・テーマを入れてたたき台を即作成

  • ふりかえりを仕込む:毎時KPT+ポートフォリオで学びを残す


参考(授業で使えるリンク例)

  • 環境省「SDGs for School」教材

  • NHK for School「未来につなげよう!SDGs」

  • 各自治体のSDGs推進ページ

  • 発表資料づくり:Canva/Googleスライド

最後に:「完璧」より「前進」。小さなPBLを回し、ふりかえりで改善し続けるサイクルこそ、総学の価値を最大化します。GPTsを相棒に、次の一単元から始めましょう。

今回はこれで終わりです。

次回もお楽しみに!


<自習ノートについて>

当社では教育機関向けの生成AI導入支援サービスも提供しています。生成AIの導入からその効果的な活用方法、さらに継続的なパフォーマンス分析・改善までを一気通貫でサポートします。

最近開催した生成AI導入セミナーでも、多くの教育現場の方々からご好評いただきました。これからのAI活用にご興味のある方は、ぜひこちらのリンクよりお問合せください。

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それでは、また次回の記事でお会いしましょう!


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