【校務DX】NotebookLMで授業準備を劇的に時短!『ごんぎつね』の実践例と、先生が知っておくべき「AIの安全な歩き方」
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- 4 日前
- 読了時間: 10分
はじめに
先生方、毎日お疲れ様です。
「明日の授業準備が終わらない」「教材研究もっと時間をかけたいけれど、会議や事務作業に追われている……」
そんな悩みを抱えていませんか?
今、学校現場では「働き方改革」や「校務DX」が叫ばれていますが、新しいツールを覚えるのがまた負担になってしまっては本末転倒です。そこで今回ご紹介したいのが、Googleが提供する「NotebookLM」です。
これは、先生が持っている教科書データやプリント、指導案を「読み込ませる」だけで、AIが授業スライドや解説、問題集を一瞬で作ってくれるという、まさに「魔法の教務助手」のようなツールです。
今回は、小学校4年生の国語の定番教材『ごんぎつね』を題材に、実際にNotebookLMを使って授業スライドを作成する手順を公開します。さらに、今回は「あえて『スイミー』ではなく『ごんぎつね』を選んだ理由」という、著作権とAIリテラシーに関する非常に重要な話もあわせてお伝えします。
先生ご自身の身を守るためにも、ぜひ最後までお読みください。
目次
1. NotebookLMとは? 教科書を「投げる」だけで授業準備が始まる
NotebookLMが他のAI(ChatGPTやGeminiなど)と大きく違う点は、「先生が渡した資料(ソース)に基づいて回答する」という点です。
ネット上の不確かな情報ではなく、お手持ちの学習指導案、教科書本文(テキストデータ)、自作プリント、Web上の信頼できる記事などを読み込ませることで、その内容に沿ったスライド構成やテスト問題を生成してくれます。
つまり、「教材づくりをゼロから」やる必要はなく、「既存の資料を投げ込んで、たたき台を一気に出してもらう」ところからスタートできるのです。

2. 【実践】『ごんぎつね』で授業スライドを作ってみよう
では、実際に教材を作ってみましょう。今回は、著作権フリー(パブリックドメイン)となっている新美南吉の名作『ごんぎつね』のテキストデータをNotebookLMに読み込ませました。
指導要領にある以下の2つの目標を達成するためのスライド構成を、AIに考えてもらいます。
様子や行動,気持ちや性格を表す語句の学習を通して,語彙を豊かにすることができる。
登場人物の気持ちの変化や性格,情景について,場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像することができる。
パターン1:【語彙力強化】言葉の意味調べとリスト化を自動化する
授業準備で地味に時間がかかるのが、「子供たちにとって難しい言葉」のピックアップと、その意味調べではないでしょうか。これをAIに任せれば、数秒でリストアップが完了します。
先生が入力するプロンプト(指示)例:
『ごんぎつね』の本文から、ごんの「いたずら好きな性格」や「ひとりぼっちの寂しさ」を表している象徴的な語句や表現を5つ抜き出してください。それぞれについて、以下の形式で表にまとめてください。
※絵本、教科書のイラストデータは使用せず、必要な場合はキツネのイラストを独自に生成すること。
1抜き出した語句
2その語句が使われている文
3小学生にもわかる言葉の意味
4その言葉から想像できるごんの様子
NotebookLMが出力した結果(イメージ):
このように、授業でそのまま板書やスライドに使える表形式で出力されます。

これまで先生が辞書を引きながら作っていたリストが、一瞬で完成しました。「小学生にもわかる言葉で」と指示を入れるのがポイントです。
パターン2:【心情理解】場面ごとの気持ちの変化を可視化する
物語全体を通した「気持ちの変化」を追う授業でも、AIは強力なパートナーになります。
先生が入力するプロンプト(指示)例:
『ごんぎつね』における「ごんと兵十の関係の変化」に注目して、以下の4つの場面ごとにごんの気持ちがどう変化したか、本文の根拠とともに解説してください。
1いたずらをする場面
2兵十のおっかあが亡くなったことを知った場面
3くりや松茸を届ける場面
4最後、兵十に撃たれる場面
※絵本、教科書のイラストデータは使用せず、必要な場合はキツネのイラストを独自に生成すること。
NotebookLMが出力した結果(イメージ):
場面1:いたずら(好奇心と退屈)
気持ち: 退屈まぎれに、人間を少し困らせてやろうという軽い気持ち。
根拠: 「へえ、うなぎだな。ちょっかいを出してやろう。」
場面2:後悔と同情(自分との重ね合わせ)
気持ち: 自分のいたずらが原因で兵十が母親にうなぎを食べさせられなかったと知り、深い後悔と、同じ「ひとりぼっち」である兵十への同情を抱く。
根拠: 「あんないたずらをしなけりゃよかった。」
場面3:償いと求愛(承認欲求)
気持ち: 罪滅ぼしをしたい気持ちと、神様の仕業だと思われていることへの少しの不満。「自分だと気づいてほしい」という切ない願い。
根拠: 「神様にお礼を言うんじゃあ、おれは、引き合わないなあ。」
場面4:悲劇的な結末(受容と無念)
気持ち: 撃たれてしまったが、最後にようやく兵十に自分の行いを知ってもらえたことへの、かすかな救い。
根拠: ごんは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
これをベースにすれば、「ごんの気持ち曲線」のような板書計画もすぐに立てられますし、「この時のごんの気持ち、本当にこれでよかったのかな?」といった、子供たちの思考を深めるための「発問」を考える時間をたっぷり取ることができます。
3. 実際の生成スライドを見てみよう(PDFダウンロード)


実際に上記のやり取りを経てNotebookLMが出力した構成案を元に、スライド形式で出力されたPDFがこちらです。
あくまで「AIが作ったたたき台」ですが、授業の構成案として十分に使えるクオリティであることがお分かりいただけると思います。
4. なぜ『スイミー』で作らなかったのか? AI時代の著作権リスク
ここで少し、裏話をさせてください。
実は当初、この記事を書くにあたって、定番教材『スイミー』でスライドを作ろうとしていました。しかし、途中で『ごんぎつね』に変更しました。
なぜだと思われますか?
それは、「著作権」の問題です。
『スイミー』はまだ著作権保護期間内の作品です。NotebookLMでスライドを生成する際、もし教科書の挿絵(レオ・レオニ作の絵)をそのまま読み込ませてスライドに表示させたり、あるいはAIがその絵を学習して酷似したイラストを生成してしまったりした場合、著作権侵害になるリスクがあります。
学校の授業内(教室の中)だけで使う分には「授業目的の公衆送信補償金制度(SARTRAS)」などの例外規定がありますが、今回のようにブログで公開する場合や、校外のサーバーを経由するクラウドサービスの使い方によっては、法的なトラブルになりかねません。
そこで今回は、作者の死後70年以上が経過し、パブリックドメイン(著作権切れ)となっている新美南吉の『ごんぎつね』(青空文庫等のテキストデータ)を使用しました。
「便利だから何でもAIに読み込ませていい」わけではありません。
先生自身と学校を守るために、次の「3箇条」を必ず心に留めておいてください。
5. 先生のための「AI活用」安全3箇条
先生方が安心して校務DXを進めるために、これだけは守ってほしい「身を守るためのルール」を3つに絞りました。
第1条:【入力の鉄則】個人情報と教科書写真は「そのまま渡さない」
AIは入力されたデータを学習してしまうリスクがゼロではありません(※ツールや設定によりますが、基本的には「学習される可能性がある」と考えておくのが安全です)。
特に「児童生徒のプライバシー」と「教材の著作権」は、絶対に守るべきラインです。
🚫 NGな例
「田中太郎くんの作文に対するコメントを考えて」とフルネームを入れる。
教科書のページをスマホで撮影して、そのまま画像としてアップロードする(教科書会社や著作者の権利侵害になる恐れがあります)。
✅ OKな例(マスキング・代替)
「ある児童(小学校3年生)の作文」として、名前や個人が特定できる場所を伏せて入力する。
教科書の内容を使いたい場合は、著作権フリーの作品を使うか、要点だけを自分の言葉でテキスト化して入力する。
プロンプトに「教科書の挿絵は使わず、著作権フリーの画像または幾何学図形で表現すること」と明記する。
第2条:【出力の鉄則】AIは平気で嘘をつく。「ファクトチェック」は人間の仕事
AI(特に生成AI)は、もっともらしい嘘(ハルシネーション)をつくことがあります。特に「事実関係」「数字」「歴史的背景」などは要注意です。
「AIが出したものが完成品」ではなく、「AIが出したものは、あくまで『たたき台(下書き)』」と考えましょう。
🚫 NGな例
NotebookLMが作った要約やクイズを、中身を確認せずにそのままプリントとして印刷して配布する。
✅ OKな例
生成された内容に目を通し、「この漢字は未習ではないか?」「物語の解釈として適切か?」「事実に誤りはないか?」を先生のプロの目でチェック(監修)してから採用する。
第3条:【マインドの鉄則】AIは「有能な助手」。決めるのは「先生」
AIを使うことに罪悪感を持つ必要はありません。しかし、授業の主導権までAIに渡してはいけません。
「AIがこう言ったからこう教える」のではなく、「私がこう教えたいから、AIに準備を手伝わせる」という主従関係を忘れないことが大切です。
ここがポイント
AIは「面倒な作業(リスト作成、要約、翻訳)」は得意ですが、「子供たちの顔色を見て言葉を選ぶこと」や「情熱を持って語ること」はできません。
AIに時間を稼いでもらった分、「子供と向き合う時間」や「授業の工夫」にその時間を使うことこそが、正しいAI活用の目的です。
6. 明日からできる!その他の活用アイデア
授業スライド作り以外にも、NotebookLMは校務のあらゆる場面で活躍します。
【総合・探究学習】情報の集約
児童生徒が集めたWeb資料や配布プリントを1つのノートブックにまとめ、「発表用スライド構成を班ごとに作って」と指示すれば、プレゼンのたたき台になります。
【テスト作成】復習資料の作成
「この単元の重要ポイントだけを復習用スライド5枚に絞って」と依頼し、テスト前の振り返り資料やミニテストの原案を作成できます。
【校内研修】資料作成の効率化
文科省の通知や自治体のガイドラインPDFを読み込ませ、「生成AIの教育活用について30分で話すための研修用スライド10枚を作成して」と依頼すれば、難解な行政文書を読み解く時間を大幅に短縮できます。
【学級経営】保護者会資料
学級通信や行事の案内文を読み込ませ、「保護者会で使う今学期の振り返りスライドを整理して」と頼めば、思い出の整理もスムーズです。
応用例ポットキャスト、動画もNotebookLMは作成できます。
7. まとめ:AIに「作業」を任せて、先生は「子供」を見よう
「AIを使うなんて、手抜きじゃないか?」
そんなふうに思う必要は全くありません。
これまでの先生方は、あまりにも多くの「事務作業」「資料作成」に時間を奪われすぎていました。NotebookLMのようなツールを使って、スライド作成やプリント作りの時間を半分にできれば、その分、休み時間に子供たちと話したり、放課後にじっくり教材研究をしたりする時間が生まれます。
AIは、先生が「先生本来の仕事」をするための時間を生み出すパートナーです。
今回ご紹介した『ごんぎつね』のプロンプトや「安全3箇条」を参考に、まずは小さな単元から、校務DXの一歩を踏み出してみてください。きっと、明日の放課後の景色が変わるはずです。
今回はこれで終わりです。次回もお楽しみに!
<自習ノートについて>
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