【Geminiプロンプト付】ルーブリック評価とは?「何となく」の評価から卒業する作成手順と実践ガイド
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- 4 日前
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はじめに
「この作文、とても良い内容だけど『A評価』にする根拠をどう説明しよう?」
「グループワークの頑張りを評価してあげたいけれど、点数化するのが難しい……」
先生方であれば、このような「評価の悩み」に直面したことが一度はあるのではないでしょうか。
ペーパーテストのように「正解・不正解」がはっきりしているものは採点が容易ですが、思考力や表現力、あるいは探究学習のプロセスといった「目に見えにくい力」を公平に評価するのは非常に骨の折れる作業です。
そこで今、改めて注目されているのが「ルーブリック評価(Rubric)」です。
ルーブリックを活用することで、評価の「納得感」を高めるだけでなく、子どもたち自身が「次に何を頑張ればいいのか」を自律的に考えられるようになります。
本記事では、ルーブリックの基礎知識から具体的な作成手順、そして忙しい先生方をサポートするための「Gemini(ジェミニ)用ルーブリック作成プロンプト」までを網羅的に解説します。ChatGPTではなく、GoogleのGeminiを普段お使いの先生も、ぜひ明日からの授業づくりにお役立てください。
目次
1. ルーブリック評価とは?なぜ今必要なのか
1-1. テストでは測れない「質」を評価する
ルーブリック評価法とは、一言で言えば「成功の姿を言葉で示した評価表」のことです。
専門的な定義では、「『目標に準拠した評価』のための『基準』づくりの方法論であり、学生が何を学習するのかを示す評価規準と学生が学習到達しているレベルを示す具体的な評価基準をマトリクス形式で示す評価指標」と説明されています。
従来のペーパーテストは知識の定着を測るのに適していましたが、これからの教育で求められる「思考力・判断力・表現力」や、答えが一つではない「パフォーマンス課題(レポート、プレゼン、実技など)」を評価するには限界があります。そこで、学習到達度を段階的な尺度で一覧化したルーブリックが有効になるのです。
1-2. ルーブリックを構成する3つの要素
ルーブリックは、主に以下の3つの要素で構成されています。

要素説明具体例① 評価観点
何を評価するのか(評価の切り口)。授業の到達目標や身につけさせたい能力を記載します。
論理性、構成、協力性、技能の正確さ など② 評価のレベル
どれくらいできているか(尺度)。通常は3〜5段階で設定します。
S・A・B・C、4・3・2・1、模範的・標準的・要改善 など③ 記述語各レベルにおける具体的な行動や状態を言葉で表したもの(ディスクリプタ)。
「〜ができている」「〜しようとしている」といった具体的な行動。
この3つが揃うことで、「なんとなく良い」ではなく、「〇〇の観点について、△△という行動が見られたからA評価」というふうに、論理的な評価が可能になります。
2. 導入のメリット:教師と学習者の「視点」を合わせる
ルーブリックを作成・活用することには、教師と学習者の双方に大きなメリットがあります。
2-1. 教師側のメリット:評価の標準化
最大のメリットは、「評価のブレ(主観的ばらつき)」を減らせることです。
例えば、複数の教員でレポートを採点する場合や、一人の教員でも体調や気分によって採点基準が変わってしまうことを防げます。評価基準が可視化されることで、誰が見ても同じような結果になる「評価の標準化」が可能になります。
また、フィードバックを行う際も、「もっと頑張ろう」という精神論ではなく、「この記述語のレベルを目指そう」と具体的に指導できるため、定性的なコメントが容易になります。
2-2. 学習者側のメリット:目標の可視化
学習者にとっては、「どこまでできればゴールなのか」が事前にわかるという安心感があります。
あらかじめ到達目標や評価基準を意識して学習に取り組むことができるため、学習の道筋が見えやすくなります。
「S評価を取るには、ここを工夫すればいいんだな」と自分で気づくことができるため、自己調整学習の力も育まれます。特に、協働学習や探究学習のような、プロセスそのものが重要な活動において効果を発揮します。
3. 【実践編】失敗しないルーブリックの作り方
では、実際にどうやって作成すればよいのでしょうか。ここでは資料に基づいた具体的な手順を解説します。
3-1. 3つの種類と使い分け
まず、何のために作るかを明確にします。ルーブリックには主に3つの種類があります。
課題ルーブリック: 特定のレポートやプレゼンなど、単発の課題を評価するもの。
科目ルーブリック: 半期や通年を通じた、その科目全体の到達目標を評価するもの(成績評価の根拠に使いやすい)。
カリキュラム・ルーブリック: 学部や学校全体で育成したい力(卒業時の到達目標など)を評価するもの。
日々の授業で最も使いやすいのは「1. 課題ルーブリック」でしょう。まずはここから始めるのがおすすめです。
3-2. 評価基準(記述語)を書く「サンドイッチ法」
ルーブリック作成で最も悩み、時間がかかるのが、マス目を埋める「記述語(ディスクリプタ)」の作成です。
いきなり全部埋めようとせず、「上→下→中」の順(サンドイッチ法)で作るとスムーズです。ここでは3段階評価を例に説明します。
Step 1(最高レベルを書く):
評価観点に対して、最も高い水準の具体的な行動・成果を書きます。「これができたら完璧!」という理想の状態です。
Step 2(最低レベルを書く):
次に、最も低い水準を書きます。Step 1の内容を否定する形になりますが、学習者へのフィードバックを想定し、「〜はできているが、〜が足りない」のように、前向きな表現(要再学習など)を含める工夫も必要です。
Step 3(中間レベルを書く):
最後にその間を埋めます。最高レベルの部分否定(「〜はできているが、一部不十分」など)で表現すると書きやすくなります。
3-3. 具体的な作成事例(問題解決力の評価)
実際に「問題解決力」という観点で作成された記述語の例を見てみましょう。
具体性を高めるため、「条件型(条件を増やす)」や「動詞型(動詞のレベルを上げる)」などのテクニックを使ってレベル差をつけています。
【問題解決力のルーブリック例】

評価レベル記述語(具体的な姿)模範的(レベル3)
問題の理解を示す単独または複数の解決策・仮説を提案する。解決策・仮説は状況的要因に配慮し、また、問題の倫理的、論理的、文化的要因の全ての要因にも配慮する。
標準的(レベル2)
問題の理解を示す単独または複数の解決策を提案しているが、一つの要因にしか配慮していない。もしくは、複数の要因に配慮しているが、単独の解決策の提案にとどまる。
要改善(レベル1)
単独の解決策・仮説を提案するが、曖昧であるか、問題提示に間接的にしか対処しないため評価が難しい。
このように比較すると、「要因への配慮の数」や「提案の具体性」で差がついていることがわかります。
4. 【コピペでOK】Geminiで時短!ルーブリック作成プロンプト
「作り方はわかったけれど、ゼロから文章を考えるのは時間がかかる……」
「言葉選びが子供に伝わるか不安……」
そんな先生方のために、Google Gemini(ジェミニ)を使って、対話形式で簡単にルーブリックを作成できるプロンプト(指令書)を作成しました。
最近はChatGPTだけでなく、学校現場で導入されているGoogle Workspace環境との親和性からGeminiを利用される先生も増えています。
このプロンプトは、単に表を出力するだけでなく、「先生へのヒアリング」を通して、その授業に最適な言葉を選んでくれるように設計してあります。
4-1. プロンプトの使い方とポイント
以下の「プロンプト構文」をコピーします。
Google Gemini のチャット欄に貼り付けて送信します。
Geminiが「どのような授業のルーブリックを作りますか?」と聞いてくるので、会話をするように答えていくだけで完成します。
4-2. 配布用プロンプト(構文)
以下のボックス内のテキストをコピーしてご使用ください。
あなたは、小学校の教師が授業や課題の評価基準を作成するのを支援する「ルーブリック作成パートナー」です。以下の要件に従って対話を進めてください。
### 前提・目的
小学生自身が「何ができればよいか」「次はどうすればよいか」を理解できるように、学習到達度を段階的に示した「ルーブリック評価表」を作成します。
### あなたの役割(LLMの振る舞い)
ユーザー(教師)に対してインタビューを行いながら、最終的に以下の形式の表を作成してください。
| 評価の観点 | S (とてもよい) | A (よい) | B (もうすこし) |
| :--- | :--- | :--- | :--- |
| (観点名) | (基準文) | (基準文) | (基準文) |
### ステップごとの進行ルール
**Step 1: 授業の目的のヒアリング**
まず、ユーザーに「どのような授業・課題のルーブリックを作りますか?」と尋ねてください。
(例:国語の作文、体育のマット運動、生活科の町探検 など)
**Step 2: 観点と尺度の提案・決定**
ユーザーの回答に基づき、適切な「評価の観点(3〜4つ)」と「段階数(3〜4段階)」を**あなたから提案**し、ユーザーに合意をとってください。
提案の際は、以下のリストを参考に、その授業に合ったものを選んでください。
* 【参考リスト】
* 基礎的な技能・知識(正確さ、手順など)
* 表現力(伝え方、工夫)
* 思考・判断(理由づけ、比較)
* 意欲・態度(協力、参加姿勢、丁寧さ)
**Step 3: ルーブリックの生成**
決定した「観点」と「段階」に基づき、各マスの文章(ディスクリプタ)を作成し、表形式で出力してください。
**【重要:文章作成のルール】**
* **対象読者:** 小学生(ユーザーが指定した学年に合わせる。指定がなければ中学年向け)。
* **文体:** 「〜できている」「〜しようとしている」など、子どもが自己評価しやすい肯定的な表現を使うこと。
* **わかりやすさ:** 抽象的な言葉(「適切に」「能動的に」など)は避け、「手を挙げている」「目を見て話している」など具体的な行動で書くこと。
**Step 4: 調整と仕上げ**
出力後、「修正したい箇所や、言葉のレベル感(もっと優しくなど)はありますか?」とユーザーに確認してください。
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それでは、まずは挨拶をし、Step 1のヒアリングから始めてください。
5. 運用時の注意点とまとめ
最後に、ルーブリックを運用する際の注意点をお伝えします。
まず、「完璧を目指さない」ことです。
ルーブリック作成は通常のテスト作成よりも手間がかかります 。最初から完璧なものを作ろうとすると挫折してしまいます。最初は観点を減らしたり(2つ程度)、既存のものをアレンジすることから始めましょう。
また、どんなに良いルーブリックを作っても、評価者(先生)の間で多少の誤差は残ります。作成後に先生同士でワークショップを行い、「この記述はこのレベルだよね」と目線合わせ(調整)をし続けることが大切です。
まとめ:ルーブリックで「育てる評価」へ
ルーブリック評価の導入は、単に「成績をつけるため」だけではありません。
「何を学んでほしいか」「どんな力を伸ばしてほしいか」という教師の願いを言葉にし、子どもたちと共有するためのツールです。
評価の基準を明確にする(可視化)
子ども自身が目標を見通せるようにする
AIなどのツールを活用して効率的に作成する
この3つのステップで、ぜひ「納得感のある評価」、そして子どもたちが自ら伸びようとする「育てる評価」を実践してみてください。まずは次の授業の「小さな課題」から、AIと一緒にルーブリックを作ってみませんか?
今回はこれで終わりです。次回もお楽しみに!
<自習ノートについて>
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