「どこが変わった?」を目視で探すのはもう限界。NotebookLMで文章の違いを整理してみた
はじめに
学校では、似たような文書を見比べる場面が意外と多くあります。
たとえば、
・昨年度と今年度の校内文書・修正前と修正後の授業案・学年で共有された資料の最新版・保護者向けのお知らせ・会議で修正された議事録・同じ教材の改訂前・改訂後
などです。
「前の資料から、どこが変わったんだっけ?」
そう思って2つの文書を開き、画面を行ったり来たりしながら確認した経験はないでしょうか。
短い文章なら、それほど難しくありません。
「5月10日」→「5月17日」「体育館」→「多目的室」
といった違いなら、すぐに見つけられます。
ところが、文章が長くなると話は変わります。
一見するとほとんど同じ文章の中に、1か所だけ日付が違っていたり、対象者が変わっていたり、条件が追加されていたりすることがあります。
しかも学校の文書は、「ここだけ違えば意味が変わる」という重要な部分が混ざっていることもあります。
では、この「違いを探す」という作業を、生成AIに手伝ってもらうことはできるのでしょうか。
今回は、NotebookLMを使って文章の比較を考えてみます。
目次
①「文章の違い」を探す作業は、なぜ時間がかかるのか
②Wordにも文書を比較する便利な機能がある
③NotebookLMなら「違いを説明して」と頼める
④学校現場ではどんな場面で使える?
⑤AIに比較させるときこそ、先生の確認が大切・まとめ
「探す時間」を減らして「考える時間」へ
①「文章の違い」を探す作業は、なぜ時間がかかるのか
まず考えたいのは、なぜ文章の比較がこんなに疲れるのか、ということです。
例えば、次の2つの文章があったとします。
第1の板の中ほどに第2の板を接合し、T字を形成する。
一方はこちら。
第1の板の先端に第2の板を接合し、L字を形成する。
このくらい短ければ、
「中ほど」と「先端」「T字」と「L字」
という違いをすぐに発見できます。
しかし、これが数百行、数ページの資料だったらどうでしょう。
人間が文章を読み比べるときには、単純に文字だけを見ているわけではありません。
前後の意味を理解しながら、
「ここは同じ」「ここも同じ」「あれ?この表現が少し違う」
と確認していきます。
つまり、文章を比較する作業は、意外と集中力を使う仕事なのです。
特に授業準備や校務が重なっている時間帯に、この作業をするのはなかなか大変です。
「たった1か所を確認したいだけなのに、全部読み直している……」
そんな経験はありませんか?
ここで役立つのが、文書を機械的に比較する機能です。

②Wordにも文書を比較する便利な機能がある
実は、生成AIが登場する前から、文章の違いを確認する方法はありました。
代表的なのがMicrosoft Wordの「比較」機能です。
Microsoftの公式サポートによると、Wordのデスクトップ版では、[校閲]タブの[比較]から2つの文書を比較できます。
比較結果では、変更された箇所を変更履歴として確認できます。文字単位・単語単位など、比較方法を設定することも可能です。
つまり、
①元の文書を用意する
②変更後の文書を用意する
③Wordで比較する
④変更された箇所を確認する
という流れです。
これは非常に便利な方法です。
特に「どの文章が変更されたのか」を正確に確認したい場面では、Wordの比較機能が活躍します。
ただし、学校現場では「文書そのものを編集したい」のではなく、
「この2つの文章は、具体的に何が違うの?」
と、違いを言葉で整理してほしい場面もあります。
ここで発想を少し変えてみます。
「違いを赤字で表示してもらう」のではなく、
「違うところを説明してもらう」
という方法です。
そこで候補になるのがNotebookLMです。
③NotebookLMなら「違いを説明して」と頼める
NotebookLMは、資料を読み込ませ、その資料について質問したり、内容を整理したりできるAIツールです。
Googleの公式ヘルプでは、NotebookLMにソースを追加し、そのソースについて質問できることが説明されています。また、回答には引用が表示され、元の資料の該当箇所を確認できる仕組みも用意されています。
ここで面白いのが、「何について質問するか」をこちらで具体的に指定できることです。
例えば、2つの文章を1つの資料の中に、
【文章A】…………
【文章B】…………
という形でまとめます。
そして、
「文章Aと文章Bの違いを、項目ごとに整理してください」
と質問してみます。
さらに、
「変更された内容だけを抜き出してください」
「日付・場所・対象者・条件の4項目に分けて比較してください」
「意味が変わる可能性がある変更点を優先して教えてください」
のように、目的に合わせて質問を具体化することもできます。
ここが、単純な「目視」と大きく違うところです。
人間が一から違いを探すのではなく、
「何を比較したいのか」をAIに伝えて、整理を手伝ってもらう
という考え方です。
ただし、ここで一つ大切なことがあります。
AIに「違いを探して」と頼めば、それだけで確認作業が完全に終わるわけではありません。
NotebookLMは、アップロードしたソースをもとに質問へ回答するよう設計されています。Googleも、より具体的な質問をすることで、必要な情報を探しやすくなると案内しています。
つまり、「比較して」だけで終わらせるより、
「何と何を比較するのか」「どのような違いを知りたいのか」
を明確にすることが重要です。

④学校現場ではどんな場面で使える?
では、実際に学校で使うとしたら、どんな場面が考えられるでしょうか。
・昨年度と今年度の資料を比較する
年度が変わると、校内の資料や年間計画などが更新されることがあります。
そんなとき、
「去年と今年で何が変わった?」
を確認したいことがあります。
例えば、
・行事の日程
・担当者
・提出物
・実施場所
・対象学年
・活動内容
などです。
すべてを最初から読み直すのではなく、比較したい観点をAIに伝えて整理してもらうことで、確認の入口をつくれます。
②修正前と修正後の授業案を比較する
授業案を何度も修正していると、
「前回からどこを変えたんだっけ?」
となることがあります。
例えば、
・学習活動の順番
・発問
・児童の活動
・評価方法
・使用する教材
などを比較してみることができます。
特に、複数回の修正を重ねた資料では、「変更点を整理する」という作業そのものが負担になります。
AIには、
「修正前と修正後で、授業の流れに関係する変更点を整理してください」
のように頼むと、確認したい観点を絞りやすくなります。
③保護者向け文書の確認
保護者向けのお知らせでは、日付や場所、持ち物などの小さな変更が重要になります。
例えば、
「集合時刻が8時30分から8時45分になった」
という変更があった場合、文章全体を読み直すより、
「日時・場所・持ち物・提出期限の変更点だけを比較してください」
と指定する方法が考えられます。
もちろん、保護者に配布する最終版については、人間による確認が必要です。
AIが「違い」を整理してくれたとしても、その変更が正しいとは限らないからです。
④会議資料の変更点を確認する
職員会議などでは、資料が何度も更新されることがあります。
「第1版」↓「修正版」↓「最終版」
と増えていくと、どこが変わったのか分からなくなってしまいます。
そんなとき、
・追加された内容
・削除された内容
・変更された内容
・表現だけが変わった内容
のように整理してもらうと、確認しやすくなります。
あなたの学校では、こうした「最新版がどれなのか分からない問題」はありませんか?
実は、AI活用というと授業中の児童生徒への利用を想像しがちですが、こうした先生自身の校務を支える使い方も考えられます。

⑤AIに比較させるときこそ、先生の確認が大切
ここまで読むと、
「じゃあ、これからは文章比較を全部AIに任せればいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、ここには注意が必要です。
AIが整理した結果を、そのまま「正解」として扱うのではなく、元の資料に戻って確認することが大切です。
NotebookLMでは、回答に引用が表示され、引用元の該当箇所を確認できます。つまり、AIの回答だけを見るのではなく、「どの資料を根拠にそう答えたのか」を確認できる仕組みがあります。
これは学校現場でAIを使ううえで、とても重要な考え方ではないでしょうか。
例えば、
①AIに2つの文章の違いを整理してもらう
②変更点を一覧で確認する
③重要な変更点を元資料で確認する
④必要に応じて修正・判断する
という流れです。
ここで先生が担うのは、「AIが見つけた違いを信じるかどうか」だけではありません。
その変更が教育上・校務上どんな意味を持つのかを判断することです。
たとえば、
「集合時間が10分変わった」
という事実をAIが見つけたとしても、
「この変更を保護者に改めて周知する必要があるか」「他の資料にも同じ変更を反映する必要があるか」
という判断までは、学校の状況を知っている先生だからこそできる部分があります。
AIは「違いを見つける」。
先生は「その違いに意味があるのかを考える」。
この役割分担が、現実的なAI活用なのではないでしょうか。

まとめ|「探す時間」を減らして「考える時間」へ
文章の比較は、一見すると単純な作業に見えます。
しかし、長い文書の中から細かな変更点を探すには、かなりの集中力と時間が必要です。
Wordには、2つの文書を比較して変更箇所を確認できる機能があります。
一方でNotebookLMでは、資料を読み込ませ、その資料について質問しながら情報を整理できます。回答には引用も表示されるため、元資料に戻って確認しやすい点も特徴です。
大切なのは、
「AIに正解を出してもらう」ことではなく、「確認作業の一部を手伝ってもらう」こと。
ではないでしょうか。
先生の仕事には、
「探す」「比べる」「整理する」
といった作業がたくさんあります。
そこにAIを上手に取り入れられれば、先生が本当に時間を使いたい、
「どう教えるか」「子どもは何を考えているか」「この教材で何を学んでほしいか」
といった、より本質的な部分に時間を戻せるかもしれません。
AIに任せるのは「判断」ではありません。
判断するための材料を整理する仕事を、少し手伝ってもらう。
そんな距離感から始めることが、学校現場でのAI活用の一つの形になるのではないでしょうか。
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それでは、また次回の記事でお会いしましょう!




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