Kahoot!で全員が盛り上がらなくてもいい。授業で初めて使う先生が知っておきたい5つの設計ポイント
はじめに
「授業にKahoot!を取り入れてみたいけれど、ちゃんと盛り上がるかな?」
ICT活用の一つとして、クイズ形式の学習ツールを授業に取り入れる先生が増えています。
Kahoot!は、先生が作成したクイズに児童生徒が端末から参加し、リアルタイムで回答できる学習プラットフォームです。ライブ形式では、正答状況やランキングなどをその場で確認できるため、復習や理解度の確認にも活用できます。
一方で、初めて使う先生ほど、
・クラスが盛り上がりすぎて授業にならない
・ランキングを気にする子がいる
・時間制限があると焦ってしまう子がいる
・「ゲームは好きだけど、授業でやるのはちょっと……」という反応がある
といった場面に出会うことがあります。
ここで考えたいのは、「どうすれば全員を盛り上げられるか」だけではないのではないでしょうか。
その活動に、安心して参加できる子がどれくらいいるか。
この視点を持つだけで、Kahoot!の使い方は少し変わります。

目次
① Kahoot!は「楽しいクイズ」だけではない
② 最初に考えたいのは「誰が参加しづらいか」
③ 初回授業では「速さ」より「考える時間」を設計する
④ 競争から「自分の変化」に視点を移す
⑤ 「解く側」から「作る側」へ変えてみる
まとめ:ICT活用で大切なのは、ツールより授業設計
① Kahoot!は「楽しいクイズ」だけではない
Kahoot!と聞くと、「みんなでクイズ大会をする」というイメージを持つ先生も多いかもしれません。
もちろん、ライブ形式のクイズは授業に楽しさやテンポを生み出します。
しかし、Kahoot!の公式情報を見ると、活用方法はライブゲームだけではありません。
教師が問題を作成するだけでなく、既存の問題を編集したり、課題として児童生徒が自分のペースで取り組んだりすることもできます。さらに、レポートから学習状況を確認することも可能です。
つまり、
「Kahoot!=授業を盛り上げるゲーム」
と考えるより、
「児童生徒の反応を見ながら、学習を確認するための一つの方法」
と捉えたほうが、授業への取り入れ方が広がります。
例えば、
・前時の学習内容を確認する
・授業の導入で既習事項を思い出す
・授業の最後に理解度を確認する
・次の授業で扱う内容について、現在の理解を把握する
などです。
Kahoot!を「イベント」として使うのではなく、授業の流れの中にある一つの活動として位置づけることが、最初のポイントではないでしょうか。
② 最初に考えたいのは「誰が参加しづらいか」
ICTを授業に取り入れるとき、私たちはつい「どれだけ多くの子が楽しめるか」を考えます。
しかし、教室を見渡してみると、同じ活動に対しても感じ方はさまざまです。
例えば、
「早く答えられると楽しい!」
という子がいる一方で、
「時間が減っていくのを見ると焦る……」
という子もいます。
また、
「ランキングが出ると燃える!」
という子もいれば、
「順位をみんなに見られるのは嫌だ」
と感じる子もいます。
あなたのクラスでは、どうでしょうか?
「クイズだから、きっとみんな楽しいはず」と決めつけず、参加することにハードルを感じる児童生徒がいる可能性を最初から考えておくことが大切です。
実際、Kahoot!には現在、時間的なプレッシャーを抑えるための機能があります。
公式ヘルプでは、「Accuracy experience」によって速さではなく正解を重視する設定ができ、ライブゲームでは「Unlimited time」を利用できることも案内されています。課題形式ではタイマーをオフにすることもできます。
また、ライブゲームでは児童生徒の端末に問題文と選択肢を表示する設定も用意されています。
もちろん、すべての機能を使う必要はありません。
大切なのは、
「このクラスにとって、どの設定なら参加しやすいだろう?」
と考えてから使うことです。

③ 初回授業では「速さ」より「考える時間」を設計する
Kahoot!の特徴の一つに、回答の速さが得点に影響する仕組みがあります。標準的なポイント計算では、正解だけでなく回答時間も得点に関係します。
そのため、知識があっても、
「早く押さなきゃ!」
と焦ってしまうことがあります。
特に初めて使う授業では、児童生徒は学習内容だけでなく、
・どこを押せばいいのか
・いつ回答すればいいのか
・結果はどう表示されるのか
・次は何をすればいいのか
といった「ツールの使い方」にも意識を向けています。
そこで、最初から難しい問題をたくさん用意する必要はありません。
例えば初回なら、
① 操作確認を兼ねた簡単な問題
② 少し考えれば答えられる問題
③ 授業内容に関する確認問題
という順番にしてみます。
そして、始める前に先生から、
「今日は速さを競うことが目的ではありません」
「分からない問題は、少し考えてから答えてみましょう」
「間違えても大丈夫です。みんなで確認していきます」
と伝えておくだけでも、活動の意味が変わります。
Kahoot!を「勝負の時間」にするのか、「学びを確かめる時間」にするのか。
これは、問題を作る前に先生が決めておきたいポイントです。
④ 競争から「自分の変化」に視点を移す
ライブクイズでは、回答結果やランキングが表示されるため、競争的な雰囲気を作りやすい特徴があります。公式のライブゲームでも、回答結果や上位5人のランキング、最後の表彰台などが表示される仕様になっています。
この仕組みを楽しめる児童生徒もいるでしょう。
一方で、ランキングそのものが学習への参加を難しくする場合もあります。
そこで一つ考えられるのが、
「友達に勝つ」から「自分がどう変わったかを見る」
という使い方です。
例えば、授業の最初と最後に同じ内容の問題を出します。
授業前には、
「今の段階では、どこまで分かっているかな?」
という確認。
授業後には、
「授業を受けたあと、どこまで分かるようになったかな?」
という振り返りです。
ここで大切なのは、最初から正解することではありません。
「最初は3問だったけれど、最後は6問正解できた」
「最初は迷った問題を、今は理由を説明できる」
というように、学習前後の変化に目を向けることです。
もちろん、毎回同じ問題を使う必要はありません。
同じ単元の中で、授業前後の理解度を比較できるような設計にするだけでも、「ランキングを見る時間」から「自分の学びを振り返る時間」へ変えていくことができます。
「クラスで一番だった」という結果だけではなく、
「前より分かるようになった」
という実感を持てる児童生徒を増やす。
Kahoot!をそのための道具として使う方法もあるのではないでしょうか。

⑤ 「解く側」から「作る側」へ変えてみる
もう一つ、Kahoot!を少し違った角度から活用する方法があります。
それは、児童生徒自身にクイズを作ってもらうことです。
Kahoot!には、児童生徒が自分でクイズを作成する活用方法もあります。公式の学校向けページでも、児童生徒にKahoot!を作成させることで、創造性を育て、知識を強化する活用が紹介されています。
クイズを解くだけなら、
「正解した!」
「間違えた……」
で終わるかもしれません。
ところが、問題を作る側になると、考えることが増えます。
例えば、
① どんな問題にしよう?
② 正解はどれ?
③ 間違いの選択肢はどうする?
④ この問題を出したら、友達は迷うかな?
⑤ 教科書のどこを確認すれば答えられるかな?
といった思考が必要になります。
つまり、「答えを知っている」だけではなく、「相手に問いを作れる」ことが求められるのです。
例えば社会科なら、学習した内容から3問作る。
理科なら、実験結果についてのクイズを作る。
国語なら、文章の内容や言葉について問題を作る。
そして最後に、友達が作った問題を解いて、
「この問題はよく考えられている」
「この選択肢はちょっと分かりにくい」
「ここは教科書をもう一度見たほうがいい」
などと話し合ってみる。
すると、Kahoot!は単なる「回答するツール」ではなく、学習内容を再構成するためのツールになります。
先生から与えられたクイズに参加するだけではなく、自分たちで学習活動を作る側に立つ。
ICT活用の面白さは、こうしたところにもあるのではないでしょうか。

では、初めてKahoot!を使うとき、何から始める?
ここまでを踏まえると、初回から「完璧なKahoot!授業」を目指す必要はありません。
むしろ、次の5つを確認しておくだけでも十分です。
① 目的を一つに決める
「盛り上げたい」だけではなく、
・既習事項を確認する・理解度を把握する・授業の導入に使う・振り返りをする
など、今回の目的を一つ決めます。
② クラスの実態を見る
ランキングや時間制限を楽しめる子ばかりとは限りません。
「この活動なら安心して参加できるかな?」という視点を持ちます。
③ 最初は簡単な問題から始める
操作方法に慣れるための問題を用意します。
「Kahoot!の操作を覚えること」が授業の目的にならないようにすることもポイントです。
④ 結果を「順位」だけで終わらせない
「誰が1位だったか」だけではなく、
「どこが分かった?」
「どこで迷った?」
「授業前と比べてどうだった?」
といった問いにつなげます。
⑤ 慣れてきたら「作る側」にする
先生がすべての問題を作るだけでなく、児童生徒自身が問題を作る活動も取り入れてみます。
まとめ
Kahoot!は、授業を楽しくするための便利なツールです。
しかし、「Kahoot!を使えば授業が楽しくなる」と考えてしまうと、少しもったいないのかもしれません。
大切なのは、
ツールに授業を合わせるのではなく、授業の目的に合わせてツールを選ぶこと。
そして、クラス全員が同じように「楽しい」と感じるとは限らないことを前提にしておくことです。
速さを楽しむ子がいてもいい。
ランキングを目標にする子がいてもいい。
じっくり考えてから答えたい子がいてもいい。
みんなで問題を作ることを楽しむ子がいてもいい。
Kahoot!には、時間制限を緩和したり、正確さを重視したりするための機能も用意されています。
だからこそ、先生が「このクラスでは、どんな使い方なら学びにつながるだろう?」と考えることが重要です。
ICT活用の主役は、Kahoot!ではありません。
もちろん端末でもありません。
教室にいる一人ひとりの児童生徒と、その学びを見取る先生です。
「今日は盛り上がった!」だけで終わらず、
「前より分かるようになった」
「友達の問題を解いて、新しい発見があった」
「自分でも問題を作ってみたい」
そんな変化が生まれたとき、Kahoot!は単なるクイズツールから、学びを動かす一つのきっかけになっているのではないでしょうか。
あなたのクラスなら、Kahoot!を「競争」ではなく、どんな「学び」に変えられそうでしょうか。
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それでは、また次回の記事でお会いしましょう!




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