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小・中学生でもAIアプリが作れる時代に!Googleの無料ツール「Opal」が教育現場にもたらす可能性

はじめに

保護者の皆様、教職員の皆様、お子様や生徒たちに「将来プログラマーになりたい」「アプリを作ってみたい」と言われたことはありませんか?

しかし、プログラミングは専門的で難しいというイメージがあり、どうサポートすればよいか悩まれる方も多いのではないでしょうか。


2024年10月、Googleが画期的な無料AIツール「Opal(オパール)」を日本を含む15カ国で利用可能にしました。

このツールを使えば、プログラミングコードを一行も書かずに、日本語で指示するだけで本格的なAIアプリが作れるのです。

さらに注目すべきは、小・中学校のプログラミング授業で使われている「Scratch(スクラッチ)」のようなブロック式(カード式)のインターフェースを採用している点です。

子どもたちが学校で慣れ親しんだ方法で、より高度なAIアプリ開発に挑戦できる環境が整いました。

Scratch画面
Scratch画面

この記事では、教育関係者や保護者の視点から、Opalの特徴や教育現場での活用可能性について解説します。


目次


1. Opalとは?その特徴と教育的価値

Opalの基本情報

Opal(オパール)は、Googleが提供するノーコードAIアプリ開発ツールです。「ノーコード」とは、プログラミングコードを書かずにアプリが作れることを意味します。

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教育的価値:なぜ今、Opalが注目されるのか


1. プログラミング教育の延長線上にある

小学校では2020年度から、中学校では2021年度からプログラミング教育が必修化されました。多くの学校でScratchなどのビジュアルプログラミングツールが使われていますが、Opalはその次のステップとして位置づけられます。

Scratchとの違い:


  • Scratch:ゲームやアニメーションを作る(教育目的)

  • Opal:実用的なAIアプリを作る(実社会とつながる)


2. AI時代を生きる力を育む

文部科学省の「GIGAスクール構想」では、子どもたち一人ひとりがICTを活用して学ぶ環境整備が進められています。Opalは、AIを「使う」だけでなく「創る」経験を通じて、これからの時代に必要な問題解決能力や創造性を育むツールとなります。


3. キャリア教育の一環として

プログラマーやエンジニアだけでなく、様々な職業でAI活用が求められる時代です。Opalでの体験は、将来どのような職業に就く場合でも、「テクノロジーを活用して課題を解決する」という基本的な姿勢を養います。


Opalの主な特徴

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特徴1:日本語で指示するだけ

「アップロードした画像の内容を説明するアプリを作ってください」と日本語で入力するだけで、数秒後にアプリが生成されます。英語が苦手なお子様でも安心して使えます。


特徴2:視覚的で分かりやすい

生成されたアプリは、ブロック(カード)と矢印で表示されます。これは、プログラミング授業で使われているScratchやプログル等と同じビジュアルプログラミングの考え方です。


特徴3:高性能なAI技術を活用

Googleの最新AI「Gemini」をはじめ、画像生成AI「Imagen」、動画生成AI「Veo」など、世界最先端の技術を誰でも無料で使えます。


特徴4:安全性への配慮

Googleアカウントでログインするため、保護者や教員が管理しやすく、不適切な使用を防ぎやすい設計になっています。


2. プログラミング授業との親和性


Scratchからの自然なステップアップ


多くの小・中学校で採用されているScratchは、ブロックを組み合わせてプログラムを作る「ビジュアルプログラミング」ツールです。Opalも同様に、ブロック(カード)と矢印をつなげてアプリを作る仕組みを採用しています。

Scratchで学んだ概念がそのまま活かせる


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子どもたちは、すでに学校で学んだ「順次処理」「条件分岐」「繰り返し」といったプログラミング的思考を、より実用的な場面で発揮できます。


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段階的な学習が可能


Opalには、習熟度に応じた2つの使い方があります:


初級:チャットで指示する方法

「〇〇するアプリを作ってください」と日本語で入力するだけ。プログラミング初心者や、まず体験してみたい児童・生徒に最適です。


中級:ブロックを組み立てる方法

画面上部の4つのボタン(User Input、Generate、Output、Add Assets)を使って、自分でブロックを配置・接続します。

Scratchの経験がある子どもなら、すぐに理解できる方法です。


プログラミング的思考の実践


文部科学省が定義する「プログラミング的思考」とは、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要か」を論理的に考える力です。


Opalを使うことで、子どもたちは以下のプロセスを体験できます:


  1. 問題の発見:「こんなアプリがあったら便利」という課題を見つける

  2. 分解:アプリに必要な機能を要素に分ける

  3. 抽象化:共通する部分を見つける

  4. アルゴリズム設計:ブロックをどう繋げるか考える

  5. 実装と検証:実際に動かして確認する

  6. 改善:うまくいかない部分を修正する


これは、まさにプログラミング授業で育みたい力そのものです。


3. 実践例:植物図鑑アプリを数秒で作成

実際にOpalを使って、理科の学習に役立つ「植物図鑑アプリ」を作成してみました。


アプリの内容

撮影した植物の写真をアップロードすると、AIが自動で以下の情報を日本語で表示するアプリです:


  • 植物名

  • 科名

  • 特徴

  • 育て方


作成手順


ステップ1:Opalにログイン

Google LabsのOpal公式サイトにアクセスし、Googleアカウントでログイン。特別な設定や支払い情報の登録は不要です。


ステップ2:日本語で指示を入力

画面下部のチャット欄に以下の文章を入力しました:

「アップロードした植物の画像を識別して、
植物名、科名、特徴、育て方を日本語で表示するアプリを作ってください」

ステップ3:アプリが自動生成される


わずか数秒後、画面左側に3つのブロックが表示されました:


  1. Plant Image(植物画像)黄色のブロック:画像をアップロードする部分

  2. Identify Plant(植物識別)青色のブロック:AIが画像を分析する部分

  3. Generate Japanese(日本語生成)緑色のブロック:結果を日本語で表示する部分

これらのブロックが矢印で繋がれ、データの流れが一目で分かります。


ステップ4:動作確認


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画面右側のプレビュー画面で実際に試してみました。公園で撮影したキンモクセイ(金木犀)の写真をアップロードすると、数秒後に以下のような情報が表示されました:

金木犀(キンモクセイ) 科名: モクセイ科 特徴: 常緑性の低木または小高木です 育て方: 日当たりの良い場所を好みます
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所要時間と学習効果

  • アプリ作成時間:数秒~数分(指示を考える時間を含む)

  • 従来の方法との比較:

    • プログラミングで同様のアプリを作る場合:数週間~数ヶ月

    • 図鑑で調べる場合:1つの植物につき数分~十数分


理科の学習への応用


このアプリは、以下のような理科の学習場面で活用できます:

  • 観察記録の作成:校外学習や遠足で撮影した植物を素早く調べられる

  • 自由研究:身近な植物の分布調査などに活用

  • 植物の分類学習:科名を確認することで、分類の理解が深まる

  • 環境学習:地域の植物相を調査し、環境について考える


ただし、AIは完璧ではないため、図鑑や専門家への確認と併用することが重要です。これは、情報リテラシー教育の一環としても価値があります。


4. 教科横断的な活用の可能性

植物図鑑アプリの成功を踏まえ、他の教科でも同様のアプリを作れる可能性が見えてきました。ここでは、今後の課題として2つのアプリ案を提示します。


課題1:読書感想文サポートアプリ(国語)

アプリの概要


読んだ本のタイトルと簡単な感想を入力すると、AIが思考を深めるための質問を投げかけ、感想文の構成案を提示するアプリです。

指示の例(あくまでも例です。必ず自身で作成して試してください)


「ユーザーが本のタイトルと簡単な感想を入力すると、
その内容について深く考えるための質問を3つ提案し、
回答を基に感想文の構成案を提示するアプリを作ってください」

教育的意義

  • 思考の深化:「面白かった」だけでなく、「なぜ面白かったか」を考えるきっかけを提供

  • 構成力の向上:論理的な文章構成を学べる

  • 対話的な学び:AIとの対話を通じて、自分の考えを整理する


重要な注意点

保護者や教員の皆様には、このような使い方の指導をお願いしたいと考えています。


課題2:数式撮影解説アプリ(数学)

アプリの概要

数学の問題をスマホで撮影すると、AIが問題を読み取り、解き方のステップを段階的に解説するアプリです。

指示の例

「アップロードした数学の問題の画像を読み取り、
問題の種類を判別して、解き方を段階的に日本語で説明し、
最後に答えを示すアプリを作ってください」

教育的意義

  • プロセスの理解:答えだけでなく、解き方のプロセスを学べる

  • 自学自習の支援:つまずいた問題を自分で解決する力を育む

  • 個別最適な学習:各自のペースで理解を深められる


重要な注意点

このアプリも、答えを写すのではなく、解き方を理解するためのツールとして使用します。AIの解説を見た後、必ず自分の手で解き直すことが重要です。

また、計算過程や考え方を自分で書き出す習慣は、数学的思考力を育むために不可欠です。AIはあくまで補助ツールとして位置づけるべきでしょう。


その他の教科への展開

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これらのアプリ開発を通じて、子どもたちは各教科の知識を深めながら、同時にICTスキルやAI活用能力も身につけることができます。


5. 教育現場・家庭での導入に向けて

導入時の注意点とサポート体制

保護者・教員が押さえるべきポイント


  1. AIは完璧ではないことを理解させる

    • Opalの画面下部には「Opal can make mistakes, so double-check it」という注意書きがあります

    • AI の回答を鵜呑みにせず、図鑑や教科書で確認する習慣をつけさせましょう


  2. 学習の主体は子ども自身であることを強調

    • AIはサポートツールであり、考えることや学ぶこと自体を代替するものではありません

    • 「AIが答えてくれたから終わり」ではなく、「なぜそうなるのか」を考える姿勢が大切です


  3. 適切な使用時間の管理

    • 長時間の使用は避け、他の活動とバランスを取りましょう

    • 家庭や学校でルールを決めることをお勧めします


  4. 個人情報の保護

    • アップロードする画像に個人を特定できる情報が含まれないよう注意しましょう

    • Googleアカウントの管理を適切に行いましょう


まとめ

Googleの無料AIツール「Opal」は、小・中学生でも本格的なAIアプリを作れる画期的なツールです。プログラミング授業で使われているブロック式(カード式)のインターフェースを採用しているため、子どもたちは学校で学んだ知識をそのまま活かせます。

「AIが発達すると、人間は何もしなくなるのでは」という懸念の声も聞かれます。しかし、重要なのはAIを恐れるのではなく、上手に活用する力を育てることです。


Opalのようなツールは、子どもたちに「テクノロジーは難しい」という壁を取り払い、「自分にもできる」という自信と、「こんなことがしたい」というアイデアを形にする喜びを与えてくれます。


プログラミング教育の目的は、プログラマーを育てることだけではありません。論理的に考え、問題を解決し、創造的にアイデアを形にする力を育むことです。Opalは、その目的を達成するための強力なツールとなる可能性を秘めています。


保護者の皆様、教職員の皆様、ぜひ一度Opalを体験してみてください。そして、子どもたちと一緒に、新しい学びの可能性を探ってみてはいかがでしょうか。


今回はこれで終わりです。次回もお楽しみに!

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